宇宙が始まったとき、その全質量とエネルギーは一点に集中し、高温高密度状態にあ ったと考えられています。一点にあったエネルギーが爆発し、膨張が始まった瞬間が宇 宙の始まりでした。これがビッグバンです。それ以前の状態については色々な説があり ます。宇宙は前の無い特異点から始まったのか否か、まだ決着はついていませんが、私 は宇宙の始まりは重力が支配する特異点だったと言う説が正しい気がしています。私は 無神論者なのに、まず神ありきの色々な宗教に見られる考え方に近いのが不思議です。 ビッグバンからおよそ137億年が経ち、今、宇宙は半径約100億光年の球体と言われてい ます。今なおすごい速さで膨張し続けていて、宇宙の端に近い星雲ほど速い速度で遠ざ かっています。
宇宙が爆発し誕生したとき、光だけがあったといわれています。宇宙は光に満ちてい たわけです。光の世界は急激に膨張し、まず数種類の力が誕生しました。力が誕生した とき、光から様々なものも誕生しました。これも神話のようですので不思議です。いろ いろな物が誕生したでしょうが、ほとんどはまた光に戻り、消滅したと考えられていま す。光から最後に生まれた、たった数種類のものが今もあります。それらが、物質の構 成要素である電子、陽子、中性子です。
物は重さを持っています。物が生まれ、宇宙は重たくなってゆきました。宇宙の拡大 速度は次第に低下してゆき、光り輝く領域と真っ暗な領域が生まれました。暗黒世界の 誕生です。物は水素やヘリウムの元素になり、暗闇だけの世界がしばらく存在したよう です。まるで悪魔の世界のようです。物が次第に集まり、水素だけの星が誕生しました が、暗黒時代はおよそ1億年続いたようです。物質が集まりすぎた星はまた大爆発を起 こしました。水素の星は短命だったわけです。また光が生まれました。短命だった星の 内部に、炭素、酸素、シリコンや鉄などの物が生まれていました。それらの星は爆発と 成長を繰り返しました。こうして、次第に重い物質が生まれてゆきました。重い物質の 星の爆発周期は遅くなってゆきました。物質は次第に原子となり、たくさんの原子が生 まれ、重い物質は中心部分に集まり、軽い物質は浮き上がり、ついに大地を持つ星が誕 生しました。以上が宇宙の誕生の概略です。
科学には自然科学、人文科学、社会科学があり、高校生の皆さんは科学の基礎を勉強 しています。自然科学は自然界の物質や事象を観測し、実験し、法則や理論を追及して いる基本教科です。自然科学の代表は数学、物理学、化学です。数学の勉強は現象の説 明や理論化に必須です。物理学は物の動きを研究し、光の法則、熱の法則、電子の法則 を究明しています。宇宙の誕生から今日まで、さらに未来の宇宙の姿を研究しています 。化学は物質や原子の結びつき方を研究し、原子の集合と分離を中心とした物質の特性 を研究しています。数学・物理・化学の勉強は理工学系志望者だけでなく、経済学や法 学などの文系や医学系の志望者にも大切です。宇宙誕生の話はあらゆる人に勉強のモデ ルを提供してくれているように私には思えてなりません。