画像表現技術のキーワード
2011年01月03日(月) 記 : アドバイザー

 「画像処理技術とは、表示された物体の現実感をパソコンの画面上に表現する技術のこと」です。安価なアカデミック版でも良いソフトがたくさんあります。技術用語は呪文のようですが、要求条件を端的に表現するために役立ちます。大事な用語だけを下記に簡単にまとめました。

・モデリング
 画像処理では「物体のモデル即ち物体の形状を作成すること」を意味し、3タイプにまとめられます。2点間の線分で表現するワイヤーフレームモデル。辺を定義し面を定義するサーフィスモデル。物体を立体物で表現するソリッドモデルの3つです。

・レイトレーシング
 「光源から出た光が物体の表面で反射し視点に至るまでの経路を計算する手法」です。表示画素ごとに計算します。利点は、パソコン画面上の建築物の質感を得られ易いこと。欠点は、画像を作成するコンピュータにとって、計算負荷が大きくなることです。

・Zバッファ法
 「色情報と奥行き情報を表示画素ごとに持つ手法」です。画素の奥行き情報を比較し、最前の画素だけを表示します。画素情報のメモリ領域をZバッファと呼びます。利点はアルゴリズムが単純になることですが、Zバッファ領域には高速メモリが必要です。

・陰面処理
 「視線上の手前の物体が隠している物体や面を調べ、表示画面上には描画しない処理」です。画面上に複数の物体を重ねて表現するために使います。

・シェーディング
 「光源、およびモデルの形状をもとに、モデルに陰影をつけること」です。明るさの違いをモデル表面に表し、立体感を得られます。陰影を正確に、違和感なく付けるには膨大な計算が必要です。このため、簡略化した計算技法がいろいろあります。

・フラットシェーディング
 シェーディングの手法のひとつです。「補間などの他の計算手法を使用せず、面の法線から求めた明るさを使って面全体を描画する方法」です。計算量の少ない方法ですが、面全体が同じ明るさで描画されるため、画質は得られません。

・グローシェーディング
 画像処理分野では、陰影付けの手法のひとつです。「面を構成する頂点の法線を用いて頂点の明るさを計算し、その値を線形補間し、各点の明るさとする方法」です。このため、計算量は少なくなりますが、点光源が面の近くにあると、違和感が出るかもしれません。

・フォンシェーディング
 画像処理分野では、陰影付けの手法のひとつです。「面を構成する頂点の法線から各点の法線を線形補間で求め、得られた法線から各点の明るさをもとめる方法」です。画面上の各点の明るさを法線から求めます。計算量は多くなりますが、良い画質が得られます。

・マッピング
 画像処理分野では、「モデル表面に質感を表すテクスチャの画像を貼り付けること」です。画像をテクスチャと呼んでいます。金属なら金属片に見え、木目なら木に見えます。バンプマッピングは光の反射方向を変化させ、細かい凹凸に見せる手法です。

・モーションブラー
 「動きをスムーズにする手法」です。速い動きは肉眼でも残像が生じます。撮影画像なら残像や揺れが生じます。アニメはデフォルメで動きを表現するため、ブレがないとぎこちなく感じるため、フレーム間にブレがある画像を挿入し、滑らかにする手法です。

・エイリアス
 「アナログ値をデジタルの離散値にサンプリングした場合に現われる干渉ノイズのこと。もとデータに含まれていない虚像」を意味します。映画の車や馬車の車輪が回転方向と逆に、ゆっくり回っているように見えるのもエイリアスと言います。

・アンチエイリアシング
 画像処理では、「生成された図形のジャギー(図形の縁のギザギザ)を消すこと」です。図形に生じた干渉縞を消すと、綺麗に見えます。画素データの中間値を使いギザギザを消す手法と、ピクセルをさらに分割しそれらの平均値をデータとする手法があります。

・コンピュータビジョン
 「三次元映像をコンピュータに入力し、処理し、出力する広範な処理を含む一貫した技術のこと」です。多関節物体の姿勢や動きをモデル化できれば、色々利用できます。開発すべきテーマがたくさんありますが、市場性豊かな応用商品がたくさんあるでしょう。

・モーションキャプチャ
 「多関節を持つ人や動物の関節位置にセンサを取りつけ、関節位置を追尾し、動きを得る手法のこと」です。ビデオ画像からインバースキネマティックス手法により、直接モーションを測定できます。今後、マラソンやゴルフなどのフォーム解析に応用されます。

・からくり人形キャプチャ
 「操り人形に動作センサを付け、動きを検出し、動きを入力する手法」です。映画スピーシーズに採用されました。映画、メン・イン・ブラックの宇宙人もこれで撮影したようです。

・レンジファインダ
 「距離センサを使い、風景の奥行きの値を計測する装置」です。計測には三角測量やレーダーの原理が用いられ、レーザ光やパターン光を照射する方法もあります。

・多視点画像計測
「多数台のカメラを配置し、撮影した動画を統合し、任意の視点からの映像を計算で得る手法」です。3D画像の作成などに応用されます。仮想的な映像空間の中を自由に動き回る手法にも使え、仮想ショッピングに応用できます。

・ボリュームレンダリング
 「物体表面だけでなく、内部の構造までのデータを作成し、物体内部を画面に出力する手法」です。この手法は百科事典データ作成に使われ、医用画像、気象データに応用しています。物体を薄く輪切りにし、面画像を入力し積み上げ、内部を得る手法もあります。

・デジタルヒューマン
 「人を仮想的に正しく表現できるコンピュータモデルのこと」です。人間の動きを表現するのは大変な作業です。一般に利用できる日本製デジタルヒョーマンを私は知りません。企業はヨーロッパなどの外国製モデルを利用しているのかもしれません。

・筋骨格モデル
 「骨と関節を定義し、筋肉の動きをプログラムが加え、人の動きを自動的に作成する、筋肉と骨格の動作記述モデルのこと」です。福祉用機械や自動車開発に使います。人は柔らかい、足だけでも300以上の構造物から成り立っています。

・フェイストラッキング
 「モーショントラッキングした3D画像のアニメーションに顔の表情を貼り付け、完全なキャラクターを作り出す手法」です。演技者をテレビカメラで撮像し、その顔の映像をアニメ化し、オンラインでキャラクターの顔に貼り付けられることです。