遺伝子の情報
2010年12月09日(木) 記 : アドバイザー

 遺伝とは、親の顔つきや背格好や性格や代謝機能や生物としての仕組みが子孫に伝わること。親子に似た点があるとすぐに、それは遺伝だと私たちは納得しています。

 生物の特長は遺伝子としてDNAの上に記録されています。この形式は全ての生物で共通です。遺伝情報はたった4種類の塩基の配列順で記憶されています。バクテリアから人類はおよそ30億年もかけて進化しのでしょう。塩基配列は生物の進化と共に複雑かつ巧緻になり、生物の設計図であり、生き物の種類で違います。同じ種類でも固体毎に配列が微妙に違っています。微妙な全体設計図は個々の細胞にあります。遺伝子の形は電子顕微鏡で見られ、二重螺旋構造とほんの半世紀ほど前に分かりました。DNAが主であり、生物は乗り物に過ぎない、と言う極端な説も今はあります。

 人は30億個もの塩基配列を持ち、60兆個もの細胞を持っています。個人が持つ情報はそれらの掛け算ですから、膨大です。皆さんが持っています。しかし、人のDNAが最大情報量ではありません。人以上の情報量を持つ生物がいます。サンショウウオや両生類です。彼らは人の4倍以上のDNAを持っています。肺呼吸とエラ呼吸を両立させるためかもしれません。進化の迷路に紛れ込んだためかもしれません。サルと人のDNAにはあまり違いがありません。人には、サルから退化した性質と、進化した性質があるのでしょう。

 コンピュータは0と1の2つの値だけで複雑な処理を定義しています。1ミクロン以下の大きさの中に処理の仕組みや記憶機構を作りこんでいます。DNAも細胞の中に極めて効率良く大量の情報を記録しています。身体を構成する情報やエネルギー代謝の仕組みや、神経を情報が伝わる仕組みなども記録しているのでしょう。バクテリアと人のDNAは同じ4種類の塩基配列です。生物はDNA情報をコピーし、再生し、成長し、生殖し、進化し、繁殖し、反映してきたと言えるのでしょう。

 DNAの仕組みは極めて効率的です。エネルギーをほとんど消費せず、かつ進化する性質を持っています。DNAは遺伝子として意味のある領域と、役割が分からない領域があるそうです。それぞれ、エクソンとイントロンと呼ばれているそうです。エクソンはアミノ酸で構成され、全てたんぱく質なのでしょう。イントロンはたんぱく質だけでなく、単なる塩基の配列の場合もあるのでしょう。遺伝子は、親の性質を子孫に伝える保守的な性質と、環境に対応し進化する革新的な性質を備えているはずです。イントロンは環境変化に対応しやすい形質を記録しているかもしれません。遺伝子は、保守的な性質と革新的な性質の、相反する2つの性質を見事に実現しているのでしょう。

 人は知識や記憶力ではパソコンに勝てません。皆さんは勉強で知識を高めているのでしょう。そしてさらに今日、創造性や発想力が求められているはずです。貴方のDNAもこの世にひとつ。ひとつの花を大きく咲かせましょう。そのためには毎日、水や肥料を与え面倒を見て、切るべき枝を落とし、伸ばすべき枝を選んでください。日々の行動の結果、将来、大きな花や実が得られます。将来は今日の継続的な計画的な行動にかかっています。ぜひ、今の自分を大切にして可愛がりましょう。