古くから題経寺(柴又帝釈天)の門前町として知られている柴又を歩きました。JR東日本常磐線金町駅から京成電鉄金町線に乗り換えて一駅、ここは映画『男はつらいよ』の舞台でもあり、全国的に見ても知らない人は稀でしょう。
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柴又の駅舎は改装時の時、山田洋次の意見も得て純和風の外観となったそうです。趣のあるデザインは柴又に来た印象を与えてくれました。
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駅を降りると出迎えてくれたのが『男はつらいよ』の主役、車寅次郎の銅像。銅像になると少し渋くなったような気がしました。
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足元のプレートには山田洋次の言葉が書かれています。地方から出てきた自分としては、少しせつない言葉でもありました。誰かのために「いつかは」と繰り返すその姿に、多くの人が惹かれたのかもしれません。
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銅像の側には、大正14年頃の柴又・帝釈天参道界隈の地図が金属のプレートに刻まれていました。
そこに書かれていた文章は、柴又を知る上で勉強になる事柄でしたので記載いたします。古い漢字は一部変更されています。
『柴又という地名は極めて古い。奈良の正倉院文書「養老5年(721) 下総国葛飾郡大嶋郷戸籍 (しもうさのくにかつしかぐんおおしまごうこせき)」の中に嶋俣(しもまた)とあり、42戸の家と370人の住民がいたことが既に記されている。現在の柴又という文字が文献にあらわれるのは、江戸時代の正保元年(1644)「正保改定国図」が初めである』
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帝釈天に続く帝釈天参道には多くの人で賑わっていました。通りのお店にはいろいろなお店が並んでいます。帝釈天界隈は、環境省の「日本の音風景100選」に選定されています。
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参道途中で見かけたカエルグッズのお店「みずいろのあまがえる」。骨董屋の店主のお父さんに頼んで、娘さんが店の前で4年ほど前から販売を始めたそうです。可愛い小物から海外のアクセサリーまで、カエル好きの人にはたまらないお店です。通り掛かりの人が引切りなしに訪れていました。
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帝釈天を正面から写しました。美しい建物に木々のバランスが良く似合い、落ち着きを感じさせてくれます。大切に管理されている様子が伺えました。
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敷地内に立つ大鐘楼に思わず目がとまりました。大きな屋根と鐘を支えるわずか4本の柱。その技に驚きました。
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感想
柴又は東京の西部に住む私にとっては遠い町ですが、似た土地はありません。新興住宅地や合理化の進んだ都市型空間に息苦しくなった人にとって、タイムスリップしたようなこの景観の中に日本の味わい深い情緒を感じるのではないでしょうか。帰りぎわに、「またおいでよ」寅さんのそんな声が背中に聞こえてきそうな町並みでした。
以上